#9 似て非なるもの

 

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今読んでいる本で、スローフードロハスの違いが書かれていた。

 

スローフードは、資本主義によるファストフード拡大を背景にイタリアで生まれた共同体における食のあり方。顔の見える共同体の人が作ったものを同じ共同体のメンバーが消費する。自分の知っている人のために作るものだから、その人のことを考えて作るようになるし、食べる人も作った人を直接思い浮かべることができる。

 

共同体メンバーの生の充実、心の充実(内発性)を中心に食のあり方、流通の仕方を変えるという考え方。

 

それに対してアメリカのウォールマートが打ち出したのがロハス。オーガニックの野菜だけを売るという考え方だけど、ここでは生産者と消費者が繋がっているわけではない。あくまで資本主義のなかで体にいいものを大手スーパーが作ってそれを消費者が消費するということ。ここでは健康に良いものを売ってこのスーパーが最大限の利益を上げることが目的となる。

 

実現性はおいておいて、同じように体にいいものを取り入れる、という考え方でも目指す社会のあり方、経済のあり方、人の関係性のあり方がかなり違う。

 

後者は資本主義のあり方に則って功利主義の元に大企業が提唱したもの(そこで個人は代替可能な一部品である)だけど、前者ではそんなあり方に対して生産者消費者一人一人が代替不可能なものである社会のあり方を提案している。

 

一見似て全く非なるもの。
どちらを選ぶかは考え方次第だし、どちらも選ばない選択肢もあるかもしれないけど、これだけ違うということは知った上で選びたいね。

 

#宮台真司 #これが沖縄の生きる道