#17 ことばがことばになるとき
ことばに出すことでこれまで存在していなかった何かが生まれることがある。
たとえば、大人になって小さい頃の思い出についてことばを紡いだとする。
そうすると、いまのあなたのことばに翻訳された記憶のなかに、いまのあなたがそのことをどう思うのか、そのことがどうやっていまのあなたを作っているのかがあらわれてくる。
いまのあなたが感じていること、思っていることが、その思い出につけ加えられて、その思い出は今のあなたと結びついたなつかしくも新しいものになる。
そのとききっと、その思い出はあらためてあなたの細胞に書き加えられていく。
そういうふうにして、ことばはいくらでもあなたの記憶、思い出を新しく、なつかしく、かけがえのないものにできるかも知れない。
ときには、自分でも気づかなかった、つらい、と言う気持ちを形にしてあなたに見せてくれるかもしれない。
おおげさかもしれないけど、そういうふうにして少しずつ人生という物語を書いたり、書き換えていくことができるかもしれない。
と、改めて考えさせられる大事なことがありました。