増えすぎてしまった私たちは

 

 

私たちは死んでもいつも何かの一部だったし

何かはいつも私たちの一部になった

あるときまで世界はそういうところだった

いまも一部はそうだ

どうやら宗教だか社会だかの都合で

私たちは死んで燃やされることになった

あるいは別の信仰を持つところでは

燃やすことは禁じられているらしい

少なくとも私たちは燃えて煙になり空に飛んで行く

けれどその煙は宇宙空間には出ることはなく

地球の大気の中をふんわりと漂って

やっぱり私たちの滓らしい

多分雨に溶けて降ったり

雲の一部になったり

オゾン層に飛んで行ったり

破壊してみたり

そういうことだと思うんだけど

だけどそれがたまりにたまって

いつか何かをこわしてしまうとしたら

高い葬式費用を払わせて燃やされるよりも

喜んでどこかで朽ちて何かに食べられることを選ぶ

なんて思ったりする

増えすぎてしまった私たちは

生きていたって死んだって

行き場所に困るようになったようだ

ハワイじゃ移住が増えて家賃があがり

現地の人が家に住めなくなり

日本じゃ死んだ後、埋める場所がなくなった

増えるってのはなんだか大変だ