#47 死ぬんじゃないかと思った話

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その朝は、世界の終わりが来るのかというほど、美しかった

 

朝露がキラキラと輝き小鳥は木のまわりで戯れ

 

シロツメクサの宇宙の中には生まれたばかりのつるっとした虫が佇む

 

太陽は背中を温め、風は穏やかで、小さな蒲公英は太陽に向かって静かに輝いていた

 

小さく響く鳥のさえずり、虫の声、民家から聴こえてくるピアノの練習の音を背に、私はもう死ぬのではないかと考えた

 

その時それに対する返事のようにカラスがカアカアと鳴き、それに呼応して遠くで子どもたちがカアカアと鳴いた

 

光が、音が、空気が溶けて全てがあるところにあるような
永遠の瞬間

 

向こう側で別の子どもが「あいらぶゆー!」と母親に向かって愛を叫ぶ

 

なんだか私もその一員になってしまったような気持ちになり、親子たちに「おはようございます」と挨拶した(「はろー」と言おうかとも思ったがやめた)

 

若い母親はややとまどった声で「おはようございます」と返してくれたが、子どもたちは黙ってしまった

 

少し申し訳ない気持ちになった

 

と、太陽が刺すように熱くなり始めたので家に退散することにした

 

今日はまだ死なないらしい

 

#47
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#朝 #永遠 #なんかごめん