#20 小さい世界の大きな宇宙
小さい頃、外で遊ぶのが好きだった。
ローラーブレードで転んで鼻血をだしたり、キックボードを両手放しして転んでひじをえぐったり、自転車で二人乗りして坂で止まれなくなって転んだり、ハブを見つけて走って逃げたり、友達の家からの帰りに集団の犬に追いかけ回されたり、痛いことも怖いこともいっぱいあったけど懲りることも飽きることもなく外を走り回った。
おかげでスケート系全般がすごく得意になったし、キックボードの手は離さない方がいいことを覚えたし、自転車もこまめにブレーキを握るようになったし、ハブに対して警戒心と対策を怠らないようになった。
とにかく世界は面白いところで
そこらじゅうに冒険が溢れていた。
池でおたまじゃくしを捕まえたり、田んぼのあぜ道を皆で探検したり(落とされたり)、家の屋根に上って走り回ったり、ガジュマルの木の上で鬼ごっこをしたり、綺麗な石をあつめて交換したり、ちょうちょの幼虫や木登りとかげを捕まえて育てたり、食べられる花や木の実を食べて回った。家の近くや通学路にいる犬達はいつも声をかける顔見知りだった。ドロケイをして泥棒になると、逃げ切ることに全力を注いだ。
本も冒険の一部だった。
ハリーポッターの本に夢中になったときは、(まだ映画もなかったので)大好きなハーマイオニーがどんな顔をしているのか想像して絵をかいたり、10歳の誕生日になるまでホグワーツに行けるかもしれない希望を持ち続けた。いつ妖精に会ってもいいように妖精語の本で勉強した。シャーロックホームズやルパンにドキドキしたり、細かいことはあまり良く分からないままはだしのゲンを読んで悲しい気持になったりした。怖い話を読んで、口裂け女や花子さんに会っても大丈夫なように呪文や対策を覚えた。
遊んでも遊んでも遊び足りなくて、知っても知っても知り足りなかった。
お金なんてちっとも必要なかったし世界の全てが遊び場だった。
半径何キロかの小さな世界は拡大し続ける大きな宇宙だった
#20
#こども #世界 #ミクロ #マクロ #宇宙